こいつは旨い・東京の味(根深汁)

根深汁(ねぶかじる)は葱の味噌汁。千住葱や下仁田葱のように、土を盛り上げて根を白軟逆援助化させた白葱を使う。作り方といった童貞程のものはなく、ただ出汁で葱のぶつ切りを煮、味噌を溶き入れれば出来上がる。極めて簡便かつ安価な冬の味覚である。池波正太郎の時代小説やエッセイには頻繁に登場する。池波によると少量の油分を加えるといっそう旨くなるといい、仕掛人・藤枝梅安胡麻油を落とした根深汁を作って仲間を瞠目させているし、池波自身は鶏の皮少々を入れたものが好物であると書いている。